その他の疾患や皮膚に関する知識

皮膚科領域の新しい薬

医療系の雑誌を見ていたら、昨年2014年に発売された新薬の特集がありました。

皮膚科領域では、①クレナフィン爪外用液、②ザイザルシロップ、③スミスリンローション、④ドボベット軟膏が挙げられており、比較的多い方ではないかと思います。

新薬により治療のパターンが増えるわけで、皮膚科の薬が増えることで専門科としてできることが増え、とても喜ばしいです。

今回は4つのうち3つが外用薬(塗り薬)ですが、塗り薬は安全に、かつ効率良く皮膚の病変を治すにはとても理にかなっています。

「塗る」という作業は「飲む」よりも面倒臭いことではありますが、ピンポイントで病気の場所に薬が辿り着く、という利点は大きいものです。

そのためには塗り方も大事で、皮膚科医としてはそういった部分もしっかりお伝えしていきたいと思っています。

 

せっかくなので、新薬のメリットを簡単にご紹介します。

①は「爪白癬(爪みずむし)」の塗り薬です。爪白癬を専門にした塗り薬という点では初めての薬になります。

以前も爪白癬についてはブログで書いたことがありますが、爪にまで白癬菌が感染すると治療が難しくなり、飲み薬が治療の中心になります。

しかし飲み薬には副作用や飲み合わせの問題もあり、塗り薬の方がより安心して使える薬といえます。

爪白癬は治療効果がでてくるまで時間がかかりますが、この薬が発売されて3カ月くらい使用している感じでは、従来の塗り薬(本来は足白癬用)より効果は高く、やはり爪の中への浸み込みが良いようです。

②は、抗アレルギー薬で、かゆみを止めたり、じんましんや花粉症などの治療に使用します。

もともと錠剤は大人で使用されてきましたが、このシロップにより小児にも使えるようになりました。

これまでの小児用の抗アレルギー薬は2歳以上向けのものがほとんどでしたので、6ヵ月から2歳未満のお子さんでも使えるというのがこのお薬の利点です。

風邪などひいたりすると1歳くらいでも蕁麻疹がでることも結構ありますので、治療しやすくなりました。

③は「疥癬」の治療薬、疥癬はヒゼンダニによる感染症で、時に医療施設内などで感染拡大することが問題になります。

疥癬には2006年からイベルメクチンという飲み薬が使えるようになりすでに治療しやすくなっています。

しかし飲み薬治療が難しい場合には、塗り薬が大事になります。

このローションは海外では効果が確認され広く使われていましたが、日本では使用できなかった薬で、治療の選択肢が増えたことになります。

④は「乾癬」の塗り薬です。乾癬は慢性に繰り返し、厚みや粉をふくような発疹が全身にでる疾患です。

乾癬の治療薬の進歩は最近目覚ましいのですが(今後このブログでも取り上げたいと思っています)、やはり一番基本的な薬は塗り薬です。

乾癬の塗り薬の代表は、ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬ですが、それぞれ利点が異なります。

この軟膏は両者が最初から混合されて一緒になっている薬で、1回塗る作業で2種類の薬を作用させられる、という点でとても便利だと思います。

ベタメタゾンとカルシポトリオールという2種類が混合されていますが、どちらも皮膚科医にとって馴染みのある薬で、効果は期待通りです。

 

どの薬も珍しい病気に対する新薬、ということでなく、日常でよく見かける疾患の治療薬で、当院でも採用しています。

今年も皮膚疾患に対する新薬が発売される予定があるようで、皮膚科ならではのより専門的な治療を提供できるよう、当院も準備していきたいと思います。

 

ちなみに「保険外治療」になってしまいますが、⑤グラッシュビスタ、という新薬も出ています。

まつ毛を成長させる薬です。興味のある方は、当ホームページの自由診療のところにも掲載しておりますので、ご覧ください。

 

追伸;

すっかり正月気分もなくなった今日この頃、今年初の更新でした。

今更ですが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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桐生が岡動物園の羊です。

久しぶりに行きましたが、無料であれだけの種類の動物を見れるのはありがたいですね!

個人的には猿(ニホンザルもクモザルも)の動きが興味深くてはまってしまい、いつまでも見入ってしまいました。

 

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