現代病草紙−皮膚科の診療室より−



やけどはどうすればいいの?


  お子さんがやけど(火傷あるいは熱傷とも言います)をすると、お母さんはすぐに

病院へ連れていかなくてはと思っているようです。慌ててすぐに病院に電話をするお母さんも

います。


その前に。

まず冷静になりましょう。

  大したやけどでない場合は、とにかく患部を冷やしてください。冷水でも何でも

かまいませんから、受傷後三十分以上は冷やすことが大切です。それから、落ち着いて、

病院に行くべきだと心得てください。



  よく、アロエや味噌、馬油などをやけどにつける方がいますが、かえってその後の処置が

大変になりますので止めてください。

  やけどは、受傷した部位、範囲、深さによってその重症度が決まります。

  まず部位ですが、顔面や外陰部では、他の部位に比べて重傷になりやすいようです。

特に、ガス爆発などでは粘膜や気道も受傷しますから、すぐに病院に行かなければなり

ません。範囲が広ければもちろん重傷です。【九の法則】と呼ばれる図@のような算定

方法があります。これは最も有用ですから覚えておくと便利です。



  深さに関しては図Aを参考にしてください。深さによって一度から三度までに分け

られています。三度は毛包などの皮膚付属器よりも下までの深いやけどです。一般的には

二週間経っても治らないやけどは深いと思ってください。




  重症度の目安は表@をご覧になってください。




  程度に応じて、放っておいてもよいか、一般の病院や開業医でもよいか、救急処置の

完備している総合病院に行かなければならないか、おおよそお分かりになると思います。

例えば中程度で、おおよそ十%のやけどは、病院に行かなければならないことが理解できる

と思います。



  特殊なやけどとして、低温熱傷があります。湯たんぽやあんかなどに長時間接触して

起こるやけどです。

  これは、じっくりとやけどするので、しばしば傷が深く、難治性となることが多いよう

です。動作が鈍くなったお年寄りや、熱さを感じにくくなった糖尿病の患者さんなどは、特に

注意しないと、気づいた時にはやけどが深くなっていることがあります。

  また、夏の日焼けもやけどの一種です。海水浴や山登りなど夏の炎天下での行動には、

十分注意しなくてはいけません。



  いずれにしても、やけどの多くは予防できる病気です。暖房器具やポットのお湯の管理

など、ほんのちょっとした心がけで大部分のやけどは未然に防げることを、もう一度確認し、

日常生活の中で心してくださるよう願っています。