ホ−ムペ−ジ開設のメリットとデメリット

     はっとり皮膚科医院 服部 瑛

 1997年夏、開院10周年を記念して当医院のホ−ムペ−ジを開設した。その際、ただ皮膚
科情報を流すだけでなく、同時に皮膚病に関する質問や医療相談も受け付けた。

 開設当初からしばらくはアクセス件数も、質問も少なかったが、1昨年頃よりアクセス
件数が急増し、現在では一日およそ100 件ほどになった。それに伴って質問・医療相談も
増加している。それらの詳細の一部は『皮膚病診療』に報告した1)。

 ホ−ムペ−ジ開設の意義に関しては、当然のことながら、メリットとデメリットが共存する。

 まずデメリットから述べる。最大の難関はホ−ムペ−ジを立ち上げるという大変な作業で
あろう。外注も可能であるが、意を尽くしたホ−ムペ−ジの開設は高価にならざるえない。次に、
ホ−ムペ−ジの内容を定期的に新しい情報などで更新あるいは追加していかなければならない。
これも予想以上に大変な作業となる。さらに多忙な診療の中、質問に答えるという行為が加わる。
現在私の医院では、メ−ルを点検し私の意見を返答する数名の職員、ホ−ムペ−ジの内容を
更新・追加する別の数名の職員らがそれぞれに対処しているが、結局多くの職員の手によって
ホ−ムペ−ジが維持・管理されているというのが現状といえよう。つまりホ−ムぺ−ジの維持・管理
には、診療とは別の多大な雑務を背負うことになるのである。

 質問の中には失礼な、あるいは意味不明なものが散見される。さらに返答に対するお礼の
メ−ルはわずか15%ほどでしかなく、これなども精神的なデメリットと言えよう。

 しかしメリットがあるからこそ、ホ−ムペ−ジを継続することができている。その理由を列挙すると、
1)幅広い情報網を持つことが可能となる。新しい知見を得たり、画像を送ることなどで、
患者・医師間で有益な情報交換の場となりうる。実際、患者さんから画像付きの質問は多い。
2)患者さんの素直な本音や疑問を知ることができ、さらに診療とは別な観点からの意見にも
接することができる。このことは、クリニック内での患者・医師の関係を再考するよい機会になりうる。
3)まったく無縁な遠方の国内・外からの医療事情などをリアルタイムで知ることができる。特に
外国における医療事情が日本とは大きく異なることを詳細に知ることができた。
4)宣伝としての役割がある。実際、ホ−ムペ−ジを見て受診する遠方からの患者さんが増えた。
さらに情報発信によって、皮膚科に関する正しい知識・理解を広め、啓蒙することができる。
5)生の声を知ることで、スタッフの間で患者さんに対する認識が高まる。その結果、患者さんが
一体何を要求しているのか、以前に比べより理解できるようになった。

 以上である。

 現在私の医院ではホ−ムペ−ジに関して、デメリットを上回るメリットを享受し、それ
を比較的有効に活用できているのではないかと思っている。

        文献

1)服部 瑛, 田村多繪子: 皮膚病診療,22:
871,2000