『日本臨床皮膚科医学会 会員名簿』

 
 私の診療室の机の本立てには数種類の名簿がいつも置かれている。
医師会、同窓会などなど・・・。その中でもっとも頻用している名簿は
日本臨床皮膚科医学会のものである、と先日ふと気付いた。
 何故なのだろうか?
1)まず活字が大きく読みやすい。老眼になった私にも比較的楽に判読できる。
2)氏名の下に出身大学と卒業年度が記載されているが、とても貴重な情報である。
お会いした先生の出身大学がえらく遠方だったり、卒業年度が想像したよりも新しいことを
知り、思わぬ驚きを感じることも多い。秘密事項ではないだろうが、楽しい出会いの
再現を演じてくれるのだ。もちろん逆のこともあろう。
3)巻末の索引では“あいうえお”順になっているが、氏名は地域別に整理されていることも
嬉しい。最近までその理由が分からなかったが、知ってみると実に細かい配慮である。
例えば転勤する患者さんがどこどこには皮膚科はありませんか、という問いにすぐ対応できる。
もちろん患者さんには直接名簿は見せないが、近くに皮膚科はいくつありますよ、と言えるのだ。
患者さんは、このネットワ−クの緻密さにびっくりすることを時に経験させられる。これは迂闊に
前医の悪口は言えないと・・・? 
4)2年に一度改訂されて手元に届くこともすばらしい。病院関係の先生方は移動が多いので、
その最新の情報は我々開業医に安心感を与えてくれる。

 以上の理由などから、皮膚科関係の連絡には、私用の住所録よりも『日本臨床皮膚科医学会
会員名簿』を愛用している。この名簿を作製されている方々に心から感謝したい。

 聞くところによると、本年度の新しい名簿からはFAX番号が追記されるそうである。いずれ
Eメ−ルアドレスも掲載されると思われる。ますます貴重な名簿になりそうだ。

 もし日本臨床皮膚科医学会に入会されていない先生方は、目的がこの名簿だけでもよいから
ぜひ入会していただきたいものだ。特に大学や病院関係の先生方にお薦めである。大学や
病院の先生方はB会員に属し、会費も安い。この名簿は、思った以上に実用的で、有益で
あることを保証する。

 ただし新しい問題も生じて来る。この名簿も含めて多くの古くなった名簿の処理はどうすれば
よいのだろうか? 個人情報の保護が問題になっている昨今、貴重な資料だけに処理方法が
ずさんならば医師、この場合は皮膚科医以外の他人に悪用される可能性がある。
幸い私はそれらのすべてをまだ保存しているが、古い名簿はゴミといってよい存在になっている。
医学部や医師の名簿は悪用されやすいと聞いているので、ことに心配である。

 処理方法などを含めて、どなたかよい知恵を教えていただけませんか?
          (高崎市 服部 瑛)