プロトピック軟膏について−その3

 前回、プロトピック軟膏が眼に入った場合どのような症状が起きるか、
動物実験でもよいから、是非検討していただきたいとこの欄でお願いした。
早速、(株)藤沢薬品の学術の製品担当者が資料を持って私の医院に来て
くださった。
 その表題は、「FR900506軟膏のウサギにおける眼粘膜刺激性試験」。
その資料を要約すると、0.1%および0.5%プロトピック軟膏を、1)角膜、
2)虹彩、3)結膜に塗布し、2、24、48及び72時間後に観察した結果、
すべての眼組織で異常は観察されず、角膜上皮に対する障害も認められ
なかった、というものである。
 やはりそうかと得心した。このことからプロトピック軟膏が眼に入ることに
関してはそれほど神経質にならなくてもよいように思われた。
 今冬、私はプロトピック軟膏を自ら試みた。軽症ながら私もアトピ−性皮膚
炎患者だからである。予想したごとく、塗布後からホテリ感を感じた。もしも
何も知識が無いならば、びっくりするほど強烈なホテリ感だった。
しかし予備知識があると、不安感が払拭されるのでさほどでもない。
ホテリ感に関する患者さんへの説明は、きわめて重要であると思われた。
 プロトピック軟膏の基剤は、かなり硬く、顔面左右、額と3回ほどチュ−ブから
軟膏を取り出して塗布しなければならない。しっかり塗布しようとすると、
その量は決して少なくはない。
 まぶたに関しては、眼を軽くつぶって、横方向に全体につけるようにすると、
ほぼ眼周囲全体に塗布できることがわかった。綿棒を使用して、2mmとか
3mmまでなどどいった難しさはない。
 また軟膏を3、4日つけないと、高温の環境下でホテリ感を感じるので、
それ以内の連続塗布が必要だと実感した。
 今回のプロトピック軟膏の眼に関する疑問にすぐに対応してくれた(株)藤沢薬品には
心より感謝したい。こうした最新の情報はやはり貴重である。
 これを機会に、妊娠中のマウスなどでプロトピック軟膏を全身に塗布して、胎児に影響
があるかどうかという実験などを提案した。人間とはもちろん同列には語られないだろう
が、貴重な情報となるはずである。
 現在、プロトピック点眼薬、そして小児用のプロトピック軟膏の治験中であると聞いた
。免疫抑制剤タクロリムスは様々な可能性を秘めた薬剤なのであろう。日本人によって
作られた、この製剤の新たな展開を心から期待したい。
          (高崎市 服部 瑛)