【アフリカへ行きました】
 
14) あら? 卵の黄身が・・・
 
ロッジでのお食事は3食付きです。
1、2キロほど離れたところにマサイの方々の小さな集落がある以外この辺には何もありません。
外で何か食べたいと言ってもコンビニもありませんし、第一私たちはロッジの敷地内から勝手に外へ出てはいけないことになっています。
従って誰もが、3食ともここのダイニングルームで頂くことになります。
到着した最初の夜、案内されたテーブルの上には、「タムラ・ファミリー」と書かれたカードが立てられていました。
ここでは最初の夕食の時に案内されたテーブルが、私たちの定位置として最後のお食事までずっと同じテーブルで頂くことになっていました。
これならウエイターが客をいちいちテーブルへ案内する手間も省けますし、どの宿泊客がまだ食事に来ていないのかが一目瞭然です。
朝夕のゲームドライブという日課のようなものがあるのですから、三度のお食事の時間も当然それに合わせて設定されているわけです、きわめて合理的だと思いました。
 
お食事は基本的に一貫してフランス料理でした。
朝と昼は殆どブッフェ形式で、夕食はオードブルからデザートまでテーブルサービスされました。
 
朝食はオーソドックスな定番メニューでした。
カラフルなトロピカルフルーツ盛り合わせから始まります。
日本ではまだ少数派のパッションフルーツを二つ割りにしたものが毎回各種フルーツの大皿にいっしょに並んでいました。
お昼のデザートの1品としてフルーツカクテルが並んでいた時も、そのソースはパッションフルーツと見えて可愛い小さな種がつぶつぶと混ざっていました。どうやらこちらではフルーツのソースとして頂くことが多いようです。
各種ジュースの中にもパッションフルーツがありましたから、日本と違ってケニアではありふれた果物のひとつなのでしょうか。
シリアルもいろいろな種類が並んでいました、ソーセージ・ベーコンなどを添えた卵料理、バター、ジャム(自家製、種類は日替わり)とパン各種そしてコーヒーあるいは紅茶と続きます。
 
朝のパンはクロワッサン、トースト、デニッシュなどがあり、好みのものを頼むとバスケットに山盛りにしてテーブルまで運んできてくれます。パンは自家製で、毎日焼きたてアツアツです。
香りが高くて美味しいのですが、食べきれないくらいの量なので、申し訳ないと思いながらいつも残してしまいました。
こちらのパンは食パンもクロワッサンもみんな少しばかり茶色っぽい色でした。
そう言えば、テーブルシュガーも少し黄ばんだ色をしていまいた。
味に差はなかったのですが、こちらでは小麦粉や砂糖などの精製方法が少し違うのかと思いました。
 
ブッフェスタイルですが、卵料理もパン同様各自が希望した調理法のものに希望の肉料理(ソーセージ、ベーコンなど)を添えてテーブルまで運んできてくれます。
最初の朝、私はスクランブルエッグとベーコンをお願いしました。家族はそれぞれ、トマト入りあるいはベーコン入りオムレツを注文しました。
少し間をおいて、ほかほかと湯気を立てながら運ばれてきたお皿を見ると、香り・形は確かにスクランブルエッグ、オムレツなのですが、何故かどちらも白っぽいのです。
「えー? ここでは黄身は使わないのかしら」と思ったほど白い卵料理でした。
家族一同首を傾げました、これは果たして鶏の卵なのか、別の鳥の卵なのか議論しましたが結論の出るはずがありません。
試しに翌日は皆がポーチドエッグや目玉焼きなど、卵黄・卵白の状態がはっきり解るものをお願いしてみました。
果たしてどのようなものが運ばれてくるのか、ちょっと楽しみでした。
興味津々でお皿の上を見ると、目玉焼きもポーチドエッグも確かに黄身のようなものが真ん中にありますがとても黄白色でした。これなら確かに白に近いスクランブルエッグになるだろうと納得できました。日本で私が食べ慣れているものとは違います。
念のためウエイターに「この卵は黄身がとても白いですが、鶏卵でしょうか」と尋ねますと
「はいはい、勿論これは普通の鶏の卵で作ったものですよ」と言う返事。
 
その朝のテーブルでは『白い黄身』が話題の中心になりました。
「ニワトリは鶏でも、日本のとは種類が違うのじゃないかしら」
「餌が違うのかも知れない」
「そう言えば、前にテレビで『鶏は与える餌の色によって、卵黄の色が左右される』と言って、緑色野菜中心の餌で育てた鶏は緑色っぽいもの、パプリカか何か赤を主体とした餌を食べていた鶏は赤っぽい卵黄を並べていたことがあったわね」
「それならケニアで普及している鶏の餌が白っぽい何かをを主成分にしているのかも知れないわ」
「白いトウモロコシかしら?」
 
当然のことですが、昼食や夕食後に出されるデザートではス、ポンジケーキやカスタードクリームも白っぽいものでした。
まさに『ところ変われば品変わる』でした。
こちらの方はあの黄身と思われるあの部分を、やはり「卵【黄】」と呼んでいるのでしょうか、ちょっと気になりました。
ケニアの方が日本の卵の黄身を見たら、やはり「これは変な卵だわ」と思われるかも知れません。
味や香りに違いがないのだから問題にする必要はまったくありませんが、「卵の黄身は黄色である」という既成観念から「白っぽい黄身」を見て驚き、別の鳥の卵ではないかと考えてしまった私にとって、これは一種の「カルチャーショック」だったと言えましょう。