【アフリカへ行きました】
 
29)ロングドライブの日 (その3)お弁当
 
ロッジを8時に出発し、今日はマラ川の畔まで来ました。
お馴染みの草食動物や捕食動物の他に、いつものゲームドライブではお目にかかることの無かったカバのリラックスした姿を眺め、タンザニアとの国境をこっそり越えて密入国もしてしまいました。
そうこうするうちに太陽も上空に達し、そろそろお昼の時間です。
 
日本でピクニックと言うと、眺めが良くて、厳しい日射しが避けられるような大きな木の陰を選ぶとか、水の流れる音の聞こえる涼しそうな川縁にビニールシートを広げ、脚をのばして「やれやれ」と言うところです。
でもここは動物天国マサイ・マラのまっただ中、どこでも気ままにお弁当を広げると言うような勝手な行動は許されません。
また、大声でおしゃべりをしたり甲高い笑い声を上げて動物たちを驚かせることも御法度です。
彼らの生活を脅かさないよう、慎重に場所を選ぶ必要があります。
 
涼しそうな川縁では、ナイルワニnile crocodileが「今日のお弁当のおかずはなあに?」と覗きに来るかも知れません。
     ナイルワニが中途半端な格好で日光浴をしていました。
     誰かがワニの直ぐ傍まで車を乗り付けたと見えて轍の跡が付いています。
     タイヤの間隔と較べてワニの大きさが推測してください。
 
 
草原の真ん中では、恐がりの草食動物が草を食べているかも知れません。

            トムソンガゼル。恐がりと見えていつも群れでいます。
     とても神経質で、ちょっと大きな音がすると驚いて飛び上がり一斉に逃げてしまいます。
     顔は気品高く、全身像もスマート。サバンナの王子さまと私は呼んでいます。
     体高は80センチ程度の小型動物です。
 
ガイド兼ドライバーのマコーリさんは、結局どの動物にも邪魔にならない、見通しが良くて草丈の短い草原の真ん中に車を止めました。
車の中でのお弁当です。太陽は上空で輝いていますが、車の屋根を閉めれば直射日光は防げます。
窓からは草の上を渡ってきた風が車内に入り、私たちの頬を撫でて出ていきます。
この風はナイルワニ、、トムソンガゼル、そしてライオンたちをも同じように撫でてきた風だと思いながらそっと頬を触って見ました。
 
お正月など冷蔵庫でお餅を保存するときに使う大きなプラスチックの箱が各自に配られました。
マサイ・マラでいただくランチボックスには何が入っているでしょうか、一つずつ広げてみました。
一番大きな紙包みにはハムとチーズを挟んだドッグパンがごろんと入っていました。
アルミホイルで包んだものが二つありました、一つは白身魚の切り身のフライ、角張っている他の一つはデザート用のパウンドケーキでした。
そのほかに小型のリンゴが一個と、紙箱入りのミックスフルーツジュース。
特別なものを期待していたわけではありませんが、万人好みのボリュームのあるお弁当でした。
いただいた中では、白身魚の味付きのフライは身がしっとりしていて、スパイシーでなかなか美味しいでした。
魚の種類は解りませんが、ケニアは東側の一部はインド洋に面しているし湖水(ビクトリア湖、ナイバシャ湖、ナクル湖など)も沢山あります。
アフリカで捕れる魚の中では「ナイルパウチ」と言う淡水魚が美味しいので有名と以前から聞いていました。
もしかすると「ナイルパウチ」だったのかも知れません。
朝食を済ませた直後からほとんど車の中で過ごしてきたのに、ドッグパンも魚のフライもパウンドケーキもすっかり平らげてしまいました。
ここでの空気は健全な食欲をわき上がらせるのでしょうか、お食事をはじめる前は「こんなに沢山どうしよう」と思っていましたのにどんどん食べてしまいました。運動不足では無かったのでしょうか。
でも、さすがに、食後のリンゴまでは手が出ませんでした。
 
当然のことですが、草原にゴミ箱などはありません。
包装紙、アルミホイル、ジュースの箱、リンゴの芯や食べ残しは全部またプラスチックのお弁当箱に入れてロッジへ持ち帰るためにマコーリさんが回収しました。
なんと言っても、ここは国立保護区、野生動物の世界です、自然環境を大切に保護しなければなりません。
草原では何一つ捨てることも、何一つ持ち帰ることも許されないのです。
どこにいても、誰でも、皆「マナー」はきちんと守らなければなりません。