【アフリカへ行きました】
 
43)ナイロビで寄り道 4)ジラフセンター
 
お食事の後、“ジラフセンター”へ案内していただきました。
先程寄ったレストランとの位置関係はよく分かりませんが、やはりナイロビの郊外にあるらしく、住宅地を離れてさらに進みました。
樹木が比較的沢山茂った区域になりました。
公園あるいは動物園などがありそうな雰囲気のところでした。
 
背高のっぽのキリンのいるセンターだから、とても広々とした場所へ行くのかと想像していたのですが、私たちが到着したのは思っていたよりずっとせせこましい所でした。
駐車場も狭くて、20台も駐まればそれで満杯になりそうです。
もしかすると、奥にはもっと広いキリンの生活区域があるのかも知れません。
 
駐車場の右奥に、小さなチケット売り場の建物とその脇に手洗い用の水道が見えていました。
左前方には木造2階建てで8角形の建物があり、早くもその建物の傍に2頭のキリンがいるのが見えました。
キリンの歩く区域と人との間には背の低い障害物が設けられていて、直接互いに近づくことは出来ないようになっていました。
 
 
中へはいるとガイドさんが言いました。
   『ハイハイ、2階へいきましょう。自分でキリンに餌があげられます』
   『うわー、嬉しい! そんなことが出来るのですか』
どうやら、キリンに直接エサをあげられる、というのがここの「売り」になっているようでした。
ジラフセンターは、餌付けされたキリンとイボイノシシたちの住処だったようです。
 
この建物の1階はキリン・グッヅなどを並べた売店になっていました、そこの真正面の階段から2階へ上がりました。
2階は中央に一つ部屋があり、周囲をぐるりとテラスが一周していて、地上に立っているキリンの目線とテラスにいる私たちの目線とが丁度一致するくらいの高さになっていました。
ヒトが2階へ上がってやっと顔をつきあわすことが出来るのですから、やはりキリンはとても背高のっぽなのです。
キリンの足下には小さなイボイノシシがウロウロしていました。
どのような理由でキリンとイボイノシシが一緒に飼われているのでしょうか、また、何故この2種類の動物の組み合わせなのでしょうか、結局解らないまま帰国してしまいました
 
テラスの内側の部屋はちょっとした学習センターのようになっていて、キリンに関するいろいろな説明とか食べ物などについての張り紙や写真などが貼ってありました。
テラスには2,30人くらいの観光客がすでに来ていました。
西洋系、東洋系(私たち以外に日本人らしい人もいました)、地元の方などさまざまな人の集まりでした。
その他にも、近くの小学校から見学に来た子供達でしょうか、10歳前後の制服姿の子供達がぞろぞろと中央の部屋から出てきました。
 
回廊のように取り囲むテラスの所々にはバケツが置かれていてその中に、指の頭くらいの大きさの、一見コルクの栓のような褐色ペレットが沢山入っていました。
えーっ、これがキリンの餌なのですって。大型犬用のドッグフッドそっくりでした。
なあんだ、キリンもペットとして飼われている猫や犬と同じように人工飼料を食べていたのです。
 
    『エサは一つずつあげて下さい、一度に沢山あげてはいけません』
と、ガイドさんに言われました。
ヒトと同じにダイエット? 過食を防ぐためでしょうか。
 
 
キリンがぐーんと首を突き出すと、のけ反りそうになるくらい大きな顔です。
まん丸でくりっとした目、まさに「つぶらな瞳」です。まつげはとても長くて2センチくらい、くるっとカールしていて素敵でした。
「早くちょうだい」と言わんばかりに濡れた瞳で、ジーッと見詰められると何故かドキッとしてしまいます。
 
慌てて一つつまんで差し出します。はじめは恐る恐るです。

それを見たキリンは、縦長の大きな口を開けました。
キリンの舌は、私の手を縦に3つつないだくらいの長さ(約45センチと言われる)で、灰色。
その表面の舌乳頭は、先が少し丸くなった楊枝がびっちり並んでいるように見えます。
エサをあげないで口に見とれていたら、涎が流れそうになってきました。
急いでペレットを一つつまんで差し出すと、キリンはすかさず舌をさらに長く延ばして食べようとしました。
 
キリンの舌はかなり固くて、ざらざらしていて、暖かくて、唾でベチョベチョ。大きなツルツルの唇も涎だらけで濡れています。
噛まずにすぐに飲み込んで、また口を開けておねだりします。
大きな口に小さなペレットを一つです。
飲み込んでは(噛んでいる様子はありません)、また一つ、また一つと際限なく口を開けて欲しがるのです。
「確かに一つずつあげて下さい」という意味が分かりました。
日本の公園その他のように有料で動物にエサをあげるのではなく、ここでキリンにあげるエサは無料なのです(入園料に含まれているのかも知れない)。
ですから観光客は時間の許す限り、気前よくキリンにエサをあげ続けてしまいいます。
来た人みんなが一日中せっせとエサをあげていたら、ここのキリン達は肥満児になるかお腹をこわすしかないでしょう。
やはり、一つずつあげなければなりません。
 
実を言うと、キリンにエサをあげられると聞いて、てっきり大好きなアカシヤの枝か何かを差し出すのだと思っていました。
まさか、ペレット型の人工飼料だったとは・・・。 まったく想像していませんでした。
 
マサイ・マラで見たキリンたちは、自分の力でアカシヤを見つけて自分でもぎ取って勝手に食べていました。
彼らの生活は大自然の懐の中で自由ですが、干ばつのとき、雨期が予想以上に長引いたときなど、必ずしも安穏と暮らしてはいられません。
それに対して、ジラフセンターのキリンたちに自由は無いけれど、食べる、寝るなどの苦労はしなくてよいし、肉食獣から身を守る必要もありません。
でも、マサイのキリンのように、草原を吹き抜ける風を感じながら、自分の気の向くまま自由に歩き回ることはできません。
大好きな新鮮なアカシヤを自分で選んで食べることも出来ないでしょう。
エサのペレットをねだるここのキリンを見ているうちに、ふとイソップ童話の 《田舎のネズミと街のネズミ》 を思い出しました。
動物たちにとって、本当の幸せとは何でしょう。
 
註:ケニアにいるキリンの種類
  ロスチャイルドキリン
    模様が四角から八角でくっきりしています。
    スーダン南部からウガンダ北部、さらにケニア北西部にかけて生息しています。
    このジラフセンターで見たキリンは皆ロスチャイルドキリンでした。
  マサイキリン
    今まで毎日のように見てきたキリン。
    模様の輪郭は縮れたようにギザギザしていて複雑。
    ケニア南部からタンザニア中央部に生息しています。
  アミメキリン
    はっきりした八角の模様です。
    ケニア中央部・北部、ウガンダ東部、エチオピア南部に生息しています。