アフリカへ行きました】
 
48)旅の総決算 その4
 
その4) 電飾王国日本?
 
5月21日土曜日、何気なくテレビのスイッチを入れたら、人気番組と言われている 《世界一受けたい授業》(日本テレビ)でした。
各界での活動が注目されている方が、7,8人のタレントを生徒に見立てて、もっとも得意とするテーマで授業をすると言うものです。
沢山の方が、この番組を見ていらっしゃるのではないでしょうか。
 
この日の授業は、永井智哉氏の 『地球がもし(直径)100cmの球だったら』 と言うタイトルのものでした。
講義は、地球を直径100cmの球に例えて、地球環境のあり方に迫るものでした。
地球から月や太陽までの距離を東海道線沿線の駅の距離で表現していました。
また、富士山の高さは0.3ミリでエベレストは0.7ミリ、地球上の飲める水はスプーン一杯と言う計算だそうです。
さらに、地球の緑は全体でA3用紙一枚分ですが、毎年ここから証明用写真の大きさだけ無くなっていっているそうです。
地球温暖化、砂漠化などに対処するためには、一人一人が資源の節約に努めなくてはならないと強調していました。
 
講義の中で、私の目を惹いたのは地球の夜の写真でした。
人工衛星からみた夜の地球の写真で、平面画像に直したものです。
直径100cmの地球の表面は、約3平方メートル、畳2枚分に相当します。
この夜の映像に強烈な印象を受けました。
 
黒っぽい夜の帳を背景に、小さな明るい点が五つの大陸のあちこちに散らばっていて、およその形が浮き上がって見えます。
おおむね内陸部は暗く、沿岸部には明るい点が連なって並んでいるところが多く、大陸の輪郭がはっきり分かります。
どの大陸でも、都市として発達している所は海岸沿いにある傾向が見て取れました。
明るく輝く点が密集しているところ、ほとんど点の見られない暗黒に近いところなどがあり、砂漠・山岳・湖水・森林地帯と都市部とのコントラストが鮮やかで、部位によって点の数明るさはさまざまであることが分かりました。
輝いている点は、夜間照明で煌々と明るい、非常に都市化の発達している所と言う訳です。
国で考えるなら、当然のことですがそれは先進国で、光の少ないところは発展途上国と言うことになります。
ヨーロッパおよび北アメリカのほとんど全土、オーストラリアの沿岸部近く、そして日本などはまるでシャンデリアのように明るい点がちりばめられていました。
日本は北海道・本州・九州・四国の輪郭が、はっきり分かるくらいに点が密集して見えています。
 
たまたま、【アフリカへ行きました】を書いているときにこの番組を見たので、ケニアはどうなっているかと探してみました。
アフリカ大陸中央の南東、海岸線よりのはずです。
海岸付近はやや明るいのですが、内陸部に輝く点は見当たりませんでした。ぼやっと明るいのはナイロビなどの都会でしょうか。
それはそのはずです、マサイ・マラのロッジは皆自家発電でした。
電気が必要な時間帯(早朝と夜6時から11時)だけしか電気は使えません。
電気が止まって星明かりだけになると、「考えに耽る」、「星を眺める」、「寝る」、「懐中電灯の光を頼りに何かをする」しかありません。
ケニア中央に明るい点が無いのは当然のことでした。
 
それに較べて日本列島の華やかなこと、しっかり列島全体がキラキラ輝いていました。
昼夜を分かたず仕事をしている方もいらっしゃるでしょうが、まるで日本人は夜も寝ずに働き、遊び、勉強しているかのように見えました。
電気・水・ガスなどが、まるで空気のように無尽蔵にあるのだと錯覚を起こし、夜中電気をつけっぱなしにしているのではないかと思うくらいの明るさでした。
 
そう言えばクリスマスが近づくと、近頃は普通の家庭でも庭の木々に豆電球を飾り巡らして電飾を競い合う傾向があるように思われます。
そして、深夜を過ぎても点灯されたままと言う家も少なくありませんし、クリスマスがとうに過ぎた今でも点灯していらっしゃる家もあります。
勿論、商店その他のサービス産業の場合は今更言うまでもありません。
小さな電飾用の豆球とはいえ、その電力を得るためにはやはり地球の資源を消費しているのです。
もったいないからもう少し電気を倹約した方が良いのではないでしょうか。
 
講師の先生は「地球の資源には限りがある、皆で協力して節約しなければ未来の人にツケが回る」と言っていらっしゃいました。
地球の温暖化、砂漠化なども、人為的な問題が大きいのです。
私たち地球人の一人一人が、注意して暮らさなければなりません。
長く使っていない家電製品のコンセントを抜くだけでも待機電力の節約が出来ます。
みんながエアコンの設定温度を1℃加減するだけでも大量の石油の消費が止められます。
電気のスイッチをまめに消し、水道のだしっぱなしにも充分気をつけましょう。
 
昨年、ノーベル平和賞を受賞されたケニアのマータイ女史は日本へ来て『《もったいない》 と言う言葉をはじめて知った、素晴らしい言葉なのでケニアでも広めたい』とおっしゃったそうです。
私も何事に寄らず 《もったいない》 という言葉を噛みしめて行動しましょう。
マサイ・マラでの日々と夜の地球の人工衛星画像を重ね合わせて、今考えています。
   「未来の地球と未来の人々のために、私は何から始めればよいのだろうか」
 
 
        註:似たような趣旨のことを書いた本に
        池田香代子さんの《世界がもし100人の村だったら》と言うのがあります。
          これによると、「20人が栄養不十分で、その内一人は死にそう。
          17人はきれいで安全な水が飲めない」のだそうです。
          とても考えさせられます。