【アフリカへ行きました】
 
6)初めて出会った動物
 
人気のないキチュワ・テンボ空港(?)を後にして車は走り出しました。車はサファリ・カーです。
私たちが滞在する予定のロッジ、ムパタ・サファリ・クラブを目指して行きます。
しばらくはサバンナの中の道を突っ走ります。右も左も金茶色の枯れ草が揺れています。
道路は勿論舗装されていない一本の土の道です。まわりには勿論建物などありません。
車の窓から入ってくる風は想像していたような枯れ草の匂いも、動物の匂いもしません。
とてもすがすがしい爽やかな風が窓から吹き込んできます。
 
不意にマコーリさんが窓の外を指さして「オストリッチ!」と言いました。
皆で顔をそちらへ向けます。なるほど、彼の指し示す先にはダチョウがいました。
首はすらりと長くてピンク色、脚もピンクでかなり派手なつくりです。「これがオス、あっちの小さいのがメス」と説明されました。
ちょっと離れたところには始めに見たのより一回り小さくて、全身灰色のかなり地味なメスがいました。
「ペアかしら」と尋ねると「ノー。フレンド」と言う返事。
「あは、へえ」 彼はどこで区別したのでしょう、ちょっとしたユーモアでしょうか。
自動車の音がするといきなり走り出しました。飛べない鳥だけあって足はとても速いです。
羽を半開きにして、飛ぶように走っていきます。オスが羽を広げると太ももの付け根まで丸見えになります。
ピンクのタイツをはいた中年のおばさんが、まるでスカートがめくれたままの姿で走っているようでおかしいでした。
さすがに足が速く、あっという間に奥の方へ行ってしまいました。
 
私たちがマサイ・マラへ到着して初めて出会った「ヒト」以外の動物は「ダチョウ」でした。
マサイ・マラで、始めて出会うことになる動物については全く考えていませんでした。
「きっと○○にあうだろう」とか「最初は○○に出会うに違いない」と特定の動物に対する願望も抱かないまま到着していました。
それなのに、ダチョウを見た時には何故か「えー、ダチョウだわ、 意外!」と思いました。
やはりアフリカ・ケニアの動物というと「ゾウ」、「キリン」、「ライオン」だという潜在意識が強かったために、「意外」と思ったのかも知れません。
アフリカのガイドブックにはちゃんとダチョウが紹介されているにもかかわらず、私の頭の中「ダチョウ(オストリッチ)」=「ハンドバッグ」という意識しか持っていなかったように思えます。
今回改めてしっかり {「ダチョウ」=「アフリカ」} とインプットいたしました。
 
 
     始めて出会った動物はダンデイなダチョウでした。
     後ろの方で、こんもり盛り上がっているのは古い蟻塚です。