【アフリカへ行きました】
 
9)モーニングコールは不要でした
 
ここ、ムパタ・サファリ・クラブでは、朝6時からと、午後3時からの2回のゲームドライブがあります。
「ゲームドライブ」とは宿泊客を、ドライバーとガイド、あるいはドライバー兼ガイドが6人乗りのランドクルーザーで保護区内へ動物の観察に連れて行ってくれることです(ロッジによっては一日に3回開催されるところもあるようです)。
どこでも宿泊とセットになっているものなので、料金は宿泊費に含まれています。
 
サバンナの朝は寒いので出発前には、宿泊客もガイドさん・ドライバーさんも一緒にダイニングルームで暖かいモーニングコーヒー(あるいはモーニングテ)を頂きます。6時出発なので、それまでに起きて身支度を調えてコーヒーを戴く時間を計算に入れておかなくてはなりません。
初日ですし、旅の疲れもあるし、早起きできるかどうか不安だったのでモーニングコールをお願いしておきました。
 
「コンコンコン」とドアをノックする音が聞こえました。
「イエース、サンキュウ」といってドアを開けると、毛糸の帽子を被り、ロングコートを着た人が寒そうに立っていました。
「グッド モーニング」ニコッと笑うと白い歯が光りました。護身用でしょうか、棍棒のようなものを脇に挟んだ背の高い若者です。
ここではドアノックがモーニングコールなのです。5時半でした。
 
電気は自家発電です。ジェネレータの稼働時間の関係もあり朝は通常5時半から11時まで、夕は6時から11時までしか使えません。
あとは暗闇なのでお部屋には懐中電灯が備え付けられています。当然電話無し、テレビ無し。信じられないくらい静かです。
水は近くを流れるマラ川からくみ上げ、自家浄水して使っているそうです。
飲み水はミネラルウオーターだけにするようにと言われました。
マサイ・マラでは電気も水も自前だったのです。大変貴重です。
日本にいると、電気や水は無尽蔵にあるような気がして、出しっぱなし・つけっぱなしで使っていた私は大いに反省しているところです。
資源には限りがあるものです、これからは水の出しっぱなしを慎み、まめに電気をつけたり消したりしましょう。
 
実を言うと、モーニングコール・マン(?)が部屋のドアをノックしてくれた時には、すでに私たちは起きていました。
種明かしをすると時差の関係なのです。
ここと日本との時差はマイナス6時間。ここでの朝5時は日本の午前11時つまりもうすぐお昼と言うころです。
もともと私は早起きの方なので11時までなんて寝ていたことが無かったのですから目覚めていたのは当然と言えましょう。
その後もいつもの起床時間にパッチリ目が覚めてしまいます。以後、モーニングコールはお断りしました。
 
モーニングコール・マン(?)が抱えていた棍棒は昔マサイの人達が戦いに用いた器具で「オリンガ」と言うものだそうです。
とても硬い種類のアカシヤで作られていて、先端は枝分かれの膨らんだところ削って拳状にした棍棒です。
ルームキーのホルダーも4,50センチ長さのずっしりと重い「オリンガ」で部屋毎に色も形も違うものでした。
もしこれで力一杯頭を叩かれたら、陥没骨折間違い無しという位の代物です。
ダイニングルームと客室との行き来の際、万一動物にでも襲われたらこれで戦えばいいのでしょうか。
とにかく大きいくて重いので、ポケットへしまい込むことはとても無理です。いつも手にぶら下げて歩いていました。
幸いにも、滞在中武器としての出番はありませんでした。