日曜日の昼食にスパゲッティを作った。ベーコンと春キャベツをいれ、
自分でもなかなか美味しくできたと満足していた。黙々と食べていたとき、
いきなり夫が向こう側から『君はもしかしたら本来は左利きなのかも知れ
ないな』と言った。今までそんなこと考えたことも無かったので心底驚いた。
彼がその根拠としてあげた理由は、スパゲッティを食べるとき、フォークを
時計の針とは逆方向にまわして巻き付けているからだと言う。良く見ると彼も娘も
時計の針と同方向にフォークをまわしていた。なるほど、そんなところに
目を付けていたのか・・なかなかの観察力だわとちょっと見直した。
『小さい頃に親に矯正されたのかも知れないよ』と彼は言うが私には
全くそんな記憶は無い。「寝耳に水」だったのでそう言われてからは
何をするにも気になってしまった。
日常の動作での手仕事は右手優先でこなしている。箸、ペンは言うに及ばず、
調理器具もお掃除の時も右手が先に仕事をしている。でもまてよ、靴は左足から
履くし、ショルダーバッグはいつも左肩に掛けている。これはもしかすると
「隠れ左利き」の徴候かもしれないと、何となく彼の言葉が気になり始めた。
人々はどうだろうと買い物のときは街角ウォッチング、テレビを見ているときには
テレビウォッチングを始めることにした。パスタやさんへはそうたびたび出かけて
観察できないのでフォークの扱い方に関する観察が出来ないのが残念だが、
ショルダーバッグは容易に見られるのでこれを手始めにした。しかし、あまり
役にはたたなかった。はっきりと数字で出したわけではないが、大体の
印象では左肩、右肩ほぼ相半ばしていた。テレビウォッチング中たまたま
拝見した美智子皇后は左肩に、雅子皇太子妃殿下は右肩にかけておいでになった。
と言うわけで、ウォッチングは『隠れ左利き』解明には繋がらなかった。
日常の行動で家族や他の人との比較をしてみたところ、皆とは違うことが
いくつかあった。雑巾を絞るとき私は左手が上で右へ回し、右手は下で左へ
回していたが他の家族３人は逆だった。また、円を描くような動作（例えば
お鍋の底磨き、泡立て器を扱う、天井埋め込みの電球の掃除など）の場合、
私は必ず時計の針と逆方向に回していた。どうりでダウンライトの電球が直ぐに
緩んでしまうのはこのためだったのだと今回の実験？でその理由が分かった。
約１ヶ月にわたる観察の結果、自身でだした結論は、「私は【円を描く動作】に
限って大半の人と逆なだけで隠れ左利きではない」。何気なく行っている動作に
注目した夫には感心したし、美智子様も私同様バッグは左肩におかけになること、
ダウンライトの電球が直ぐに緩む理由が判明しただけでもこの１ヶ月の
ウオッチングは無駄では無かった。