【トルコの休日】 16)トルコ現代のトイレ事情・・・つづき

 『グッド・デザイン賞を差し上げたいくらいです』
 
なぜ、こんなにトイレの拘るのか自分でも可笑しいが、まあ、人間は生きていく上で毎日毎日ご厄介になるところだから仕方がないか、と思っているところだ。
 
足かけ9日間、トルコをウロウロしている間に、一体何回トイレを使用しただろう。ホテルでは勿論のこと、レストラン、ドライブ・イン、寺院、博物館、宮殿の観光客用トイレなどなど・・・・・とにかく、大変お世話になりました。
 
トルコでの宿泊はすべてホテルで、イズミール(1泊)、パムカッカレ(1泊)、コンヤ(1泊)、カッパドキア(2泊)、イスタンブール(2泊)にそれぞれ宿泊した。
シャワーだけと言うところは一つも経験せず、どのホテルも、通常の西洋式のワンルーム式バスルーム、すなわちトイレ、洗面台、浴槽がセットで付いていた。
 
トイレの種類に関しては前回詳し過ぎるくらい詳しく報告したが、この章では私の目を惹いた水洗のつまみ(レバー、ハンドル、タッチパネル)についてお話ししい。使用後に水を流すときに必要な取っ手についてである。
 
トルコでの4泊目、5泊目に泊まったカッパドキアの洞窟ホテル(「アタマン・ウチヒサール・カヤ」)のバスルームへ入ったとき、正面の壁の真鍮色の飾りのような物に目を惹かれた。
「なんて素敵なデザインなのでしょう!」
お部屋に油絵の額縁などが飾ってあるのは当たり前だが、トイレに飾りはちょっとおかしい。大小の円ははめ込まれている・・・と言うことは・・・取り付け位置から考えて押してみた。
 
 
写真:カッパドキアのホテル、「アタマン・ウチヒサール・カヤ」のトイレ(右)と水洗タッチパネルのクロー
    ズアップ(左)。アップの写真は少し斜めになってしまった。
 
見事に水が流れた。
長方形の金属板の中に、大小二つの円の一部が重なるようにはめこんだパネルが壁面についている。全体像でおわかりのように、優に官製葉書4枚くらいの大きなタッチ・パネルで、かなり自己主張の強いものだ。
大小の円形はそれぞれ水が流れる。しかも、大きな円は大容量の、小さな円は小容量の水が流れる仕組み。用途に応じて2者択一、字が読めなくても水量の調節だと推測できる。モダンでオシャレで、しかも実用的だった。
これだけ大きなものは珍しいと思った(他の外国については不明)。
 
次に同様に大型のタッチ・パネルに出会ったのは、最終宿泊地のイスタンブールのホテル「
ジェイラン・インターコンチネンタル・イスタンブール」だった。
大きさはカッパドキアのホテルの場合とほぼ同じくらいだがこちらは縦型だった。何となく古代遺跡から発掘された何かのレプリカのようにも見えるもので、あちこちの遺跡を見て歩いてきた私には懐かしく思えた。こちらは、水量の調節はできないが、前者同様、手のひらでも握り拳でも大丈夫なくらい大きなものだった。
 
 
写真:ホテル「ジェイラン・インターコンチネンタル・イスタンブール」の水洗のタッチパネル。こちらも極
   めて大型である。

  日本で日常経験している水洗のつまみは、ほとんどが拇指くらいの小さな「金具」が水槽タンクの前面あるいは側面に、何故かひっそり、こぢんまりついている場合が多い。水資源節約のために「大」、「小」と書いてあるものもある。しかし、指で指で押し曲げる方式のつまみは、力の弱い高齢者や子供には不向き。ここに写真で示したようなパネル形式のものなら、掌か拳で押せばそれでことが足りる、弱者に優しい構造だった。それに大胆で素敵なデザインのものに、まだ日本では出会ったことがないように記憶する。
デザインも良いし、水量が調節できる水資源節約型であり、これからの高齢化社会でも歓迎されるに違いない構造だと思い、早速写真に納めてしまったのだ。
 
 だが考えてみると、あちこち諸外国を巡り歩いていない私が知らなかっただけで、今の時代、極めて当たり前のものだったのかも知れない、恥を掻いたのかしら・・・。