【トルコの休日】 8)トルコ、初日のお食事
 
トルコへの旅は深夜に日本を出て、夜行列車ならぬ夜間飛行でトルコへ入った。
トルコはサマータイム中だったので、時差はマイナス6時間。結果として、2007年8月31日は、まさに30時間だったという計算になる。30時間と言っても夜が長かっただけなので、超朝寝坊と言う形で睡眠時間は充分。何処でも眠れる私に何の支障もない移動日だった。トルコ到着後、国内線に乗り換えてイズミールから直ちにベルガマへ直行。紀元前数世紀に作られた二つの大規模な遺跡(アスクレピオン、アクロポリス)の見学をしたのだ。
 
遺跡の見学のためバスでベルガマへ向かう途中、道路沿いのレストランへ立ち寄り、昼食となった。現地での本格的な食事は初めてなので、本場トルコの味とはどのようなものかと、期待と不安が入り交じった形でテーブルに付いた。6人ずつ一つのテーブルだ。
すでにテーブルには1,5センチくらいの厚さに切ったバゲットのような形のパンが山と積み上げられていた。これは食べ放題だった。バゲットより少し皮の柔らかいパンで、とても美味しかった、でもバター出ていない。あれ、あれ?
バターをつけたらもっと美味しいのに・・・と私はとても残念だった。
 
この時は初日だったので、バターが添えられていないことを深くは考えなかった。
ところがその後、トルコではどこへいってもテーブルにバターは出ていない。色々な種類の美味しいパンが豊富に並んでいる朝食ブッフェの場合でさえそうだった。バターがあれば美味しさも倍増するのに・・・。
しかし、ある日の朝、朝食のブッフェで隅の方で肩身が狭そうにしているバターを見つけたのだった。やった! 家族共々大喜びした。
後日のために一つ二つこっそり戴いておこうかと思ったが、あまりにもはしたない行為だと、思いとどまった。再びトルコへ行く機会があったら、絶対荷物の片隅にバターを入れて出かけようと心に決めた。
 
バター付きパンの件に気を取られて食事の報告をすっかり忘れてしまったが、トルコで始めての昼食の献立は、
  
前菜:ご飯詰めピーマンのスープ煮、フレッシュ・トマト添え
サラダ:キュウリ、トマト、セロリ、茹白インゲン豆(テーブルに塩・胡椒のビンあり)
メインデイッシュ:牛肉のギョフテ、ピラウ添え、
デザート;スイカ
飲み物:ミネラルウオーター(アルコール、ソフトドリンク類は別料金)
 
ピーマンの詰め物、ブドウの葉で包んだものなど詰め物料理はトルコの特徴らしく、何回か頂くチャンスがあった。
「ギョフテ」は挽肉でつくったハンバーグステーキ風のもの(ミートボールに近い小型)。肉料理の場合、豚肉は宗教上の理由で出されないが牛、羊、鶏などだった、魚のギョフテもあった。
「ピラウ」はピラフのことだ。塩・胡椒味。この時は米以外に極細かいパスタが混ざっていた。パスタの混ざったピラフを食べたのは初めて。日本人には珍しいと思うのだがトルコでは当たり前なのかしら? 
野菜は日本で食べているものと同じ種類のものがほとんどだったが全体に大型で、キュウリ、トマトなんかとても大きい。特に「これは何かしら?」」と首を傾げるような素材には出会わなかった。料理は全体に薄い目の味付けだった。食べ慣れないスパイスも特に使われてはいなかったが、その分インパクトに乏しい気がした。
 
トルコ初日遺跡見学後の宿泊地はイズミール市内のホテルだった。夕食は港に近いシーフードレストランが用意されていた。イズミールはトルコ第3番目の都市で、港町だから魚料理というのも頷ける。日中汚れた衣服を着替え、再びバスでレストランを目指すが、道路は大渋滞、いつものことらしい。皆、お構いなしに先を急ぐので混雑に拍車をかけている有様。大幅に遅れて到着した。
 
レストラン入り口近くに差しかかると、いかにも漁港らしい魚の臭いが漂ってきた。「この匂い、もしかすると私は苦手かも知れないわ」、と心の中で呟いた。入り口を通り、建物の脇をすり抜けると中庭がありテーブルが幾つも並んでいた。土地の人らしいお客も何組かいた。分散してテーブルに着いた。
 
スープ:白っぽい、小麦粉でとろみをつけたような魚味のスープ。浮き身はにんじんと緑のもの。入り口で私の鼻さきに漂ってきた匂いの源はこれだった、やはり生臭くて苦手。残してしまった。この時点で、今夜のお食事に対する期待が一気に萎んだ。
前菜:大きな白いお皿に少しずつ運ばれてきた。イカのフリッター、小エビのトマト煮、パプリカとナス、ピーマンなどのマリネ、ムール貝のフリッター。結構美味。もっと食べたかったのに、ほんの一口ずつだった。
メインデイッシュ:スズキのムニエル(結構大きなものが一人一匹付け)、ピラウ添え。お魚はあっさりしていてとても美味しかった。ウエイターがもったいぶってテーブルに運んで来たのは、何とお醤油。私たちが日本人だからかしら??? 皆、大喜びで引っ張りだこ状態だった。
デザート:カスタードプリン風の味・色のものでモチモチしていて、甘さは大サービスだった。四角くカットして、スイカとの盛り合わせだった。
飲み物:チャイ(紅茶)。トルコでは紅茶が一番ポピュラーな飲み物だそうだ。
(アルコール、ソフトドリンク類は別料金)。
 
  
イズミールはトルコ第3の都市。ヒルトンホテル14階の窓から見たトルコ第一日目の夜明け。現地時間5時52分。今日も雲一つ無い空だ。太陽は何処で見ても同じです。
 
「ピラウ」、「チャイ」共にケニアでもこのように呼んでいたのを思い出した。トルコから遠く隔たったアフリカ大陸のケニアと、トルコとで同じ呼び名が使われていることに驚き、どんな関係があるのだろうかと不思議だった。
さらに、メインデイッシュの付け合わせが昼も夜もピラウだったのはこれまた驚き。米飯を主食とする日本人だと思って配慮されたものだろうか。それとも、トルコの人々も米をよく食べるのだろうか。今日いただいた「ピラウ」には極小さな(米粒よりも小さいくらい)パスタが混ざっていた。「パスタ入りピラウ」はその後も何度か登場した。と言うことは、トルコ独特の「米文化」なのだろうか。「所変われば品変わる」ではないが、米とパスタとの組み合わせの発想がなんとも珍しく、後日そのわけを知りたいものだと思った。