【会頭の主張およびプロフィール】
 第19回日本臨床皮膚科医学会総会・学術大会(日臨皮学会:京都)での総会で、私が第21回の会頭に正式に指名された。内心困ったというのが、率直な感想である。私でなくとも、適任の先生方が多いことを十分に知っているからである。何故か、やっかいとも思える仕事を私に与えてくださった。熟考し、お引き受けすることにした。やるからには、精一杯頑張らなくてはならない。前回私はこの欄で、日臨皮総会について思うところを書き記した1)。その骨子は、これからの学会はいろいろな意味で変革しなければという思いからの発言だった。それは全く新しいことを行うことばかりではなく、温故知新も大切だと述べた。

 幸いというか、日本皮膚科学会は“卒後教育”を特化し、日本研究皮膚科学会が“研究”を特化する試みが具体化しつつある。そう考えると日臨皮学会の存在意義が明確になったと思われる。つまり“臨床”に特化する学会と位置づけられるのではないだろうか。全国の実地皮膚科医の臨床に関する意見を発表・討論する場としてとらえられる。

 そのためには、日臨皮学会がさらに有益な学会になることが求められてくることは言うまでもない。もちろん今までの日臨皮学会は、私たち実地皮膚科医にとってきわめて貴重であった。しかし、日本皮膚科学会(日皮会)の方針では、「日臨皮」の存在理由がなお明確にされていない現状がある2)。

 西山茂夫先生は、皮膚病診療の巻頭言で、「日臨皮に期待する」と題して、“本来縦断的観察を得意とする日臨皮が、症例報告やポスタ−の範囲までカバ−すべく日皮会に提案してもよいのであろう”と忌憚のない、重要な提案2)をされている。まさにその通りであろう。
 今私は、第21回日臨皮学会がどうあるべきかさまざまな考えが錯綜している。また、多くの先達や先輩・友人に素直に学会について相談しているところである。どういった学会になるかは、これからのことであろう。

 武田敏夫先生の第19回日臨皮学会(京都)は用意周到で、緻密そして盛大だった。加藤友衞先生の第20回(東京)は記念学会として新たな歴史が刻まれるであろう。
 そして第21回は、群馬県で開催される予定である。地味で小さな町、高崎市での学会を敢えて敢行するつもりでいる。そのハンディ分、新たな、興味深い学会内容でアピ−ルできたらと思っている。
 読者には、北関東信越支部での日臨皮学会に関していろいろなご意見をぜひお寄せいただきたい。(E-mail:ato@hattori-hifuka.com)

 北関東信越支部でのこの学会を、成功させるという月並みな視点からではなく、“有意義だった”あるいは“印象深かった”と思える学会にしたいと念じている。
 何卒よろしくご指導・ご協力のほどお願い申し上げます。


 追記:もし差し支えなければ、演題を持って各医会や地方会に参加して、いろいろなお話を聞きたいと思っております。よろしく御配慮くださると幸いです。


                         文献

                         1)服部 瑛:北関東信越支部会報,15,2002
                         2)西山茂夫:皮膚病診療,25:9,2003
会頭プロフィール 会頭の主張 その1 会頭の主張 その2
日本臨床皮膚科医会総会・学術大会
−その2−


服部 瑛(群馬県)